企画展「池田満寿夫の水彩 甘美な夢」

1970年代の一時期、池田満寿夫(1934-1997)はフロッタージュと水彩による絵画を多数制作しました。フロッタージュとは凹凸面に紙を当て、筆記具で模様をこすりとったり、印刷物のインクを溶剤で別の紙に滲みこませる転写の方法です。

 

転写された既成のイメージは、水彩と混じり、にじみ、溶けあい、より夢想的な情景へと私たちを誘いこみます。その奥に「通俗」と「気品」との境界を超えた、妖しく優美な世界を覗きみることができます。

本展では、当館が所蔵する<水彩・フロッタージュ>約30点と関連書籍を紹介いたします。

■特別出品《部屋の中の死》:

背を向けた女性の頭部,骸骨,ファルファベットや紐が重層的に描きこまれ,死や追想のイメージが色濃い異色作。推理小説家の折原一(おりはら・いち)氏のコレクションです。折原氏が十数年かけて蒐集した骸骨絵,骸骨オブジェによる「メメント・モリ――死を想え 折原一骸骨絵コレクション展」(2010年5月,文藝春秋画廊ザ・セラー)で公開されました。スリリングな短編「部屋の中の死」(折原一著,『オール読物』2011年5月号に発表)にも,所有欲をかきたてる作品として登場します。意外な
結末を読み終えて原画を観ると…。お楽しみは会場で。

池田満寿夫《ヴィナス風の肖像》 池田満寿夫美術館蔵