池田満寿夫美術館企画展「池田満寿夫ライブラリー」

多彩な芸術活動で知られる池田満寿夫(1934- 1997)が、装幀や造本にも携わっていたこと をご存知でしょうか。

「池田満寿夫の装幀本の特色とは何だろうか? と誰もが頭をひねるに違いない」と述べてい るとおり、本のための仕事では敢えて個性を 押しだすことなく、著作者や書物の意図に かなったデザインを重視しました。しかしす べてが美術家・文筆家ならではの「装幀観 に基づいて」手がけられ、本づくりに対する 見識と愛情をうかがい知ることができます。

このたび当館では、作家の<ブック・アーティスト>としての側面に注目し、装幀本・装画 本、作品が表紙や挿画に採用された書籍など約120点のほか、表紙画・挿画の原 画である版画や水彩画、さらに池田作品によるレコード・ジャケットやポスターなどの印 刷物を展示いたします。

ぜひこの機会に池田満寿夫の本の世界を ご覧ください。

 

同時展示|池田芸術の変容 ―銅版画から立体造形まで

池田満寿夫美術館《マドンナのように》 池田満寿夫美術館蔵

独自の装幀観 ― 池田満寿夫の装幀本

こちらに展示された書籍の中には、池田満寿夫が手がけた表紙とは一見して分からないものが見受けられます。
池田が携わる装幀本には一定のスタイルというものはありません。これには理由があり、池田は装幀に取り組む際はそれぞれの著者、著作を前面に出すことを重視していました。そのためあえて自分の画家としてのスタイルを無理に押し出すことなく、著書の内容に適した外装を作り上げていたのです。
また池田は森茉莉、澁澤龍彦、吉田秀和など親交のある作家の本の装幀も手がけており、彼らの作品を一層引き立たせる仕事をしています。

展示会場から本棚へ ―  池田満寿夫の装画


小さな銅版画から色鮮やかな大作まで、池田満寿夫の作品表現は生涯を通じて次々と変わりました。版画以外にもイラストを切り貼りするコラージュ、雑誌から転写した素材をもとに水彩で手を加え、独自の作品に仕立てる水彩・フロッタージュなどの制作をしています。変幻自在な手法でつくられた作品は、さまざまな本の表紙を飾りました。自著のレイアウトはデザイナーの勝井三雄に依頼することが多く、その才能に信頼をおいていました。
身近な書籍という媒体へと印刷されたことで池田の芸術はより多くの人々にアピールしたといえるでしょう。

多彩な活動 ―  LPレコード・CD・映画ポスターに使われた作品

池田満寿夫の作品は、レコード・ジャケットにも使用されています。多彩な表現は、楽曲の制作された時代やジャンルを問わずそれぞれアーティストのイメージに調和しています。
そして自らも枠にとらわれず活動する池田は、1976年に小説『エーゲ海に捧ぐ』を発表。翌年の1977年に第77回上半期芥川賞を小説家の三田誠広とともに受賞します。1979年に映画化された際には自ら監督をつとめ、それにともなって宣伝用のポスターもつくられました。

貴重な本の魅力 ―  オリジナル挿画入稀覯本

一般的な書籍のみならず、オリジナル版画を収めた豪華本も多数発行されています。外箱となるケースや表紙に布地や銅版画の原板が使われるなど、中身と同じく外装にも特別な趣向がこらされています。
豆本と呼ばれる小さな本は、手のひらに収まるサイズながらもその精巧な仕様から人々に愛蔵されてきた種類の本です。版画家として著名になる前から池田も豆本作りに携わっています。
いずれも限られた部数のみ発行されており、コレクターも多く貴重なものです。

<展示解説>

  ご希望の方は受付にお申し出ください。または当館(電話026-278-1722・広報)へご希望日時をお知らせください。

ご希望に添えない場合もございますのでご了承ください。