企画展「読めそうで読めない……」

池田満寿夫(1934−1997)は‘言葉で説明しなければ絵にならない’とでもいいたげに、たびたび画中に文字や、それらしい即興的な線を添えました。とくに銅版画家として脚光を浴びた20代〜30代の作品に顕著にみられます。

《タエコの朝食》部分 池田満寿夫美術館蔵 

テーブルに載っているバター、コーヒー、アップルなどが文字で暗示されている。しかもcoofeeは明らかにミス・スペルである。版画は文字を版上に逆に描かねばならない。当時は下絵なしでダイレクトに版に刀でひっかいていたので、こうしたミスを犯すことがあったが故意に修正しなかったのだ。

(池田満寿夫著『日経ポケットギャラリー 池田満寿夫』日本経済新聞社 1992年

池田満寿夫《タエコの朝食》(部分)銅版画 1963年 池田満寿夫美術館蔵

銅版画の「ドライポイント」技法による反転したカタカナや数字、ステンシル(型抜き)のようなアルファベットが描きこまれた作品は、楽しげでユニークです。と同時に、文字かどうか判然としなかったり、たとえ読むことができても主題と関係のない私的な関心事であったりし、私たちにもどかしさを感じさせます。

企画展「読めそうで読めない…」

(左)池田満寿夫《同じ種類》銅版画 1965年 池田満寿夫美術館蔵

本展は名作のなかの文字に注目し、判読のおもしろさやもどかしさを共有していただこうという試みです。館コレクションから版画,水彩・油彩画など約120点を展覧しています。どうぞお楽しみください。

企画展「読めそうで読めない・・・」

池田満寿夫美術館1F展示室

■同時展示|前展につづき写真家・田中誠一(1950−)撮影による、池田満寿夫制作風景のオリジナルプリントをご覧いただきます。

SeichiTanaka

■館内ガイド|随時、広報担当(電話026-278-1722代)へお申しつけください(ご希望に添えない日時もございます)。